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(下水管300キロ「要対策」)公明、老朽化対応急ぐ/

更新費補助、予防保全も推進

2025年09月24日 公明新聞1面

2025年9月24日

 今年1月に発生した埼玉県八潮市の事故を受け、全国の下水道管を対象に実施している特別重点調査について、国土交通省は17日、優先的に調べた箇所の結果(8月8日時点)を公表した。腐食や破損などにより対策が必要とされる下水道管は、総延長約300キロ。これを踏まえ、国交省は下水道を管理する自治体に対策の早急な実施を求める。公明党は全国での緊急点検調査や老朽化対策の実行を強く求めてきた。

敷設30年以上の管路に腐食、破損

 国内の下水道管の総延長は約49万キロに及ぶ。同調査は今年3月から、国交省の要請を受けた全国の自治体が、敷設から30年以上経過した直径2メートル以上の管路(約5000キロ)を対象に実施。目視やドローンも活用しながら腐食、たるみ、破損の状態を評価し、緊急度を判定している。

 このうち、八潮市の事故現場と似た構造や過去に陥没したことがある場所など、リスクが高い約813キロを優先的に調査。国交省は、緊急度判定を終えた約621キロのうち約72キロ(35都道府県)を原則1年以内に速やかな対策が必要な「緊急度Ⅰ」と判定した。また、応急措置を実施した上で5年以内の対策を必要とする「緊急度Ⅱ」は36都道府県の約225キロだった。

 一方、自治体では財政難や人手不足などにより、老朽化対策が思うように進まないケースも少なくない。こうした課題を踏まえ国は、技術的・財政的な支援を行う。下水道管の更新費補助や破損時の「リダンダンシー」(冗長性)確保に向け、代替の下水道管を整備する場合の支援もしていく方針だ。

 また、人工知能(AI)など新たなデジタル技術を普及させ、作業の効率化と、早期かつ確実な点検・診断を進めることで、老朽化が進む前に補修し、維持・更新費用を縮減する予防保全型のインフラメンテナンスを加速させる。

 国交省の担当者は「来年度予算概算要求に計上した関連予算などを活用しながら、対策を進めていく」と説明。今回、優先的に実施した以外の下水道管の調査については、来年2月末までの報告を自治体に求めている。

埼玉・八潮市事故踏まえ申し入れ

 公明党は、防災・減災の観点から国に対し、再三にわたってインフラの老朽化対策を主張。今年2月には、党国交部会などが中野洋昌国交相(公明党)に対し、上下水道の緊急点検の実施や、八潮市の事故現場と同様のリスクを抱える地域の点検・対策の優先実施、老朽化対策に向けた関連予算の確保を求めていた。

 部会長の中川宏昌衆院議員は「下水道管に関する事故は各地で起きており、標準的な耐用年数を超える下水道管は2037年に15万キロに達すると見込まれている。調査結果を踏まえた速やかな対策とともに、予防保全型のインフラメンテナンスの実現を強力に進めていく」と語っている。