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衆院予算委で基本的質疑

2025/02/04 1面

 衆院予算委員会は3日、石破茂首相ら全閣僚が出席して2025年度予算案の基本的質疑を行い、公明党の岡本三成政務調査会長、中川宏昌氏が質問に立った。岡本政調会長は、コメ品不足問題などに対応する政府備蓄米の活用を主張。中川氏は、能登半島地震からの復興や学校体育館の空調整備の加速化などについて、政府の見解をただした。=詳報は後日掲載

 岡本政調会長は、コメ価格の値上がりに対し、これまで著しい不作時にのみ運用していた「政府備蓄米」を活用する農林水産省の新たな運用方針について言及した。この中で、コメの生産量が前年度より多い一方、買い占めなど激しい集荷競争により集荷業者にコメが集まらない国内状況を巡り、公明党の提案による、買い戻しを条件に集荷業者へ売り渡す政府備蓄米の新たな仕組みに関して「今後は円滑な流通に支障が生じる場合にも(備蓄米の)活用を認める決定を高く評価したい」と述べた。

 その上で、農水省の方針について①抑止力として投機的な動きができないようにする②買い戻し価格に細心の注意を払う③生産者の所得を確保し、安定的なコメ価格の実現――を求めた。

 江藤拓農水相は「店頭からまたコメがないという状況が起こらないよう準備を急ぐ」と答弁した。

■賃上げへ設計労務単価の引き上げを

 岡本政調会長は、中小企業の賃上げ促進に向けた財政的支援の仕組みが予算案の中に盛り込まれていると強調。一方で、今年は「物価高の中でも働く人が継続的な賃金上昇を確実に実感できれば消費性向が高まってくる大切な分岐点だ」として、その政策手段の一つに、国や自治体が公共工事の予定価格を算出する際の基準賃金「公共工事設計労務単価」の適切な引き上げを要請した。さらに、設計労務単価が上がることで公共事業だけでなく、民間の建設業界の労務単価も上がっていくとして、設計労務単価を今後の賃上げの流れに位置付けるよう求めた。

 中野洋昌国土交通相(公明党)は、賃金上昇の情勢を十分に踏まえ、適切な労務単価の設定や労務費も含めた適切な価格転嫁対策を強化していくと述べた。

■ガザの復旧・復興支援など中長期で

 パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意を巡って岡本政調会長は、恒久停戦につなげる必要性を訴えるとともに、喫緊の人道支援に加え、復旧・復興支援に日本が積極的な役割を果たすよう主張。また、シリア難民支援を例に挙げ、ガザの若者を留学生として日本に受け入れ、母国で地域貢献できる人材育成プログラムを実施するなど中長期的な支援を求めた。

 石破首相は、ガザ住民を日本で受け入れ、医療や教育分野の支援を提供する方向で検討していると表明。「実現に向けて努力したい」と語った。

■(能登被災地)長期避難踏まえた住まい環境整えよ/中川(宏)氏

 中川氏は能登半島地震に伴う災害公営住宅の建設について、能登半島は急峻な地形で平地が限られているため、公用地への建設には限界があると指摘。「地理的状況や高齢化を鑑み、公費解体後の私有地を災害公営住宅建設に最大限生かしてほしい」と主張し、知恵を絞った柔軟な対応を求めた。

 中野国交相は「公費解体後の民有地の活用も含め、用地確保を積極的に進める」と答えた。

■(学校体育館の空調整備加速)運営経費、既設も国の支援対象に

 また中川氏は、災害時の避難所となる学校体育館の空調設備の整備加速化に向け、24年度補正予算に臨時特例交付金の創設が盛り込まれたことに言及。同補助金の申請期限が過ぎ、県内の市町村から申請がない県が17に上るとし、「検討中や申請に至っていない自治体への追加申請の申し込みを可能とすべきだ」と強調した。

 阿部俊子文部科学相は「2月中旬に追加募集を行う予定だ」と答えた。

 空調設備を使用する自治体のランニングコスト(運営経費)を地方交付税措置で支援することについて中川氏は「これから設置されるものだけでなく、既に設置されている体育館も対象にしてもらいたい」と強調。村上誠一郎総務相は「今回の交付金で設置されたものに限らず、既に設置済みのものを対象に含め、適切に算定して反映していく」と述べた。

■農水省、新たな仕組み検討/高橋(み)氏の提案受け

 政府備蓄米を機動的に活用する新たな仕組みについては、公明党の高橋みつお参院議員(参院選予定候補=兵庫選挙区)が政府に提案し、実現に向けた道を開いてきた。

 高橋氏が農林水産大臣政務官時代、コメ品不足問題を受けて、2024年9月、政府備蓄米の適切な運用と機動的な代替制度の構築を、再発防止策の私案として農水省内で提案。さらに、24年12月19日の参院農水委員会でも「令和の米騒動は、端境期の特殊事情による問題だと片付けるべきではない」として、コメの需給ひっ迫の兆候を察知したら、備蓄米を民間在庫に貸し出す新たな仕組みを提示し、省内で議論するよう求めていた。

 公明党も、高橋氏の主張を受け、24年11月7日、政府に申し入れた総合経済対策に向けた提言で、コメ不足の再発防止策として、不況時でない不足時にも需給ひっ迫に対応可能な新たな仕組みを検討するよう要請していた。

 こうした提案を受け、農水省は25年1月31日、食料・農業・農村政策審議会(農水相の諮問機関)食糧部会を開き、コメの円滑な流通に支障が生じた場合、買い戻しを条件に集荷業者へ売り渡す政府備蓄米の新たな仕組みを提示し、了承された。

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